運命の糸

畑の草刈をしていたら地主様がご夫婦でいらっしゃった。

 

地「いやぁ、精が出ますねぇ」

私「恐れ入ります!」

 

聞けば、ここに植わっている異常に美味い「青嶋温州みかん」は平成4年に植えたのだとか。

 

このワードにピンと来た。

それは、ちょうど私が産まれた地である熱海を出た頃だったからだ。

 

そして私は今、一度出た熱海に帰ってきて、当時植えられて今や立派に大きく育ったその木を管理している、と。

ひょっとすると私(2018年現在29歳)と同い年の木かも知れない。

 

これを運命と言わずしてなんと言う。

 

ここのやたらと美味いみかんの出来る畑の地主様との出会いは、当時地続きでここの上の畑と、この下の畑を借りていた所、

 

「もう管理するのが難しいから良かったら借りて下さらないか。」

 

とお声がけを頂いたのがきっかけだった。

もう、心臓にペースメーカーが入っているお身体だそうだ。

そんなお身体になりながらも限界まで懸命に管理されてきた畑である。

しかも地続きやたらと美味い青島みかん私を待っていたかの様なみかんの木がある畑である。

 

どこの馬の骨かもわからない若造に、今まで自分が懸命に管理してきた畑を貸すという事はどれだけ難しい事かは想像に容易いだろう。

 

畑を借りられないというのは、全国の新規就農者がまずぶち当たる壁でもある。

 

こんなご縁があろうか。

 

この様なご縁も掴めずして、自分の想い描く未来が掴めるものか。

 

『突き進め』という事なのだと理解した。

 

泥臭く、かっこ悪く、みっともなくてもいいと思う。

実際に今、そうなのだから笑

 

今の自分は、ダサいダサい。

みっともなくて我ながら目も当てられない程だ。

 

目の前に現れる、か細く、強く握ったら壊れてしまいそうな「ご縁」を、

ダサく、かっこ悪くも、必死な形相で繋いで行くしか今の私には出来ないのだ。

 

この様な、時に明快に、時に複雑に絡みつく運命の糸を掴み、解き、繋ぎ、自らの思い描く未来の形に紡いでいくのが生きていく事なのだと、私は考えている。

 

 

 

大丈夫だ。

時代が味方についてくれている。

そのまま突き進め。

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