今年の露地トマトには最悪な天候に見舞われ、当園でもなかなかの影響を受けた。
それでも懸命に共に灼熱の一夏を戦い抜いた、ミニトマト達の次作へ向けた片付けを進める。
トップ画は根元から上の部分を切り落とし、一カ所にまとめた絵だ。
ちょうど、真ん中に丁度いい空間ができ、帰巣本能とでも言おうか、本能的にその空間に入ってみた。
皆さんにも理解して頂ける事だろう。?
巣立つ前のひな鳥の気分だよ。
親鳥はいっこうにエサを運んで来てくれる気配はなかったが。
お遊びはこの辺に、次は根元からの下の部分を。
白マルチの下に(なんならマルチの外にまで根を伸ばす個体も)ワッサァ!と伸ばす根を一気に引き抜く。
(引き抜く動画はインスタにアップ済み)
上の成長に比例して根も伸びるというが、見事に伸びまくっているのがわかる。
長いもので、マルチをかいくぐり、通路まで伸びた2m近い太い根も。
トマト達の懸命に生き抜いた証だ。
実は、栽培している本人は毎日でも食べているので、なれてしまうのだが、ある日遠方のお客様に『味がとてつもなく濃い!旨味が凝縮されている。こんなトマトは食べた事がない。』という嬉しいお声を頂いた事があった。
自分なりに理由を分析していると、そんな時たまたまテレビで「トマトよりもミニトマトの方が栄養成分が豊富という事が判明」という番組と、害虫により食害を受けたトマトが、自己防衛のため体内で生成する成分がグルタミン酸(有名な旨味成分)であるという記事に出会った。
『なるほどな』と。
確かにうちは農薬を使わないので害虫、害獣には恰好の的だ。
前の投稿でも紹介したが、タバコガ(蛾の一種)の幼虫が実の中に入り込み、食べまくる様子がどこかしこに見られた↓
面白いもので、全ては食い尽くされない。
そもそも栽培方式が少し特殊で、人間ですら全てを穫りきる事は困難な程だ。笑
必ず一定のラインで害虫の被害も止まる。
天敵がやって来て、今度はその害虫を駆逐しに来るのだ。
これも全ては駆逐されないのがミソ。
バランスがある様なんだ。
農業界では嫌われる害虫だが、上手く付き合えば農薬なんて使わずに、旨味を上げる手伝いをしてくれるというわけだ。
温室で大切に作ればキレイで揃った、害虫も付かない一級品を作れるよ?
何度も作って来たさ。
でも、大豆を作っていた時に気付いたんだ。
大量生産できる普通味の大豆と、収量は落ちるが抜群にウマい大豆を作ってみて、商品化してみて、お客さんがまた食べたい!って言ったのは、やっぱりウマい方だったんだ。
勿論、出口(販売方法)次第で収量を穫らなくては話にならない事もある。
臨機応変に形を変えつつ、持続可能な形に適応しつつ、時代に、市場に合わせて多種多様に変化し続けられる産業が農業であると思う。
ましてや、これからの時代。
農家がドンドン辞めていき、生産量は減るんだ。ライバルは国内では勝手に減って行くんだ。
個人農家の活きる道は、ここにあると思っている。
あまりにウマかったら、大量に必要なら独自の生産組合作るか、チームか、企業からお金を引っ張るか、全国のお客さんから引っ張るか、戦い方なんていくらでもあろうよ。今の時代。
何の為にこの時代に生まれたんだ。
可能性しか無いこの農業界に光を感じているのは私だけではない。
時代を畑からひっくり返すぞ。
あ、だいぶ話がそれてしまったが、トマトさん方、今年もお疲れさまでした。
また来年、一緒に全国のお客様に驚いてもらいましょう。
それまで、こちらで畑も仕上げておきますね。
来年はもっと仲間(品種)が増えるよ。
楽しみだね。